7月, 2011年
目の前の親父が自分の未来に見えた
俺の結婚式の一週間前のことだった。
俺は親父に誘われるままに、飲みに行くことにした。そこで親父は、とんでもないことを言いだしたのだ。
自分の青春時代のことだった。
「おい、俊。お前今までに何人の女とやった。俺の倅だから、決して一人や二人じゃね~よな。このさいだ、正直に言ってしまえ」ときた。
「そう言う親父こそ、お袋出会う前に何人で、その後何人なのかな」と言うと「そんなもん、いちいち数えちゃ~いない。忘れたな。あ、でもな、強烈に面白い想い出があるぜ」
「何だ、その強烈なって~やつは、聞かせてくれよ。お袋には絶対に言わない。男同士の約束だ」と言うと、「まあ、この際だから、言うとするか」
こうして親父の独白が始まったって言うわけ。笑っちゃうような、本当に面白い話しだった。でも、半分は作り話かな。
親父の若い頃に“ヤング720”と言う、若者向けの朝番組をやっていたと言う。そのテーマが“ビューティフルサンデー”と言う曲だったそうだ。
その頃親父は本当に好きな女性がいて、彼女の部屋には月に数回泊っていたそうだ。この事実を婆ちゃんや爺ちゃんは知っていたのかな。まあ、それは置いておくとして、先に進む。
親父はその頃アパレル系の会社で、MDをしていたそうだ。何かイベントがあって、土・日を潰されると、平日に振り替え休日をとることができたので、良くその平日にその女性の部屋に泊ったそうだ。
そんなある日、朝マン(親父の表現)をやっていた時の話しだそうだ。
親父がその女性の肉鞘に入れようとした瞬間、TVからその“ビューティフルサンデー”が流れてきたそうだ。番組のタイトルどおりに7:20きっかりに流れてきたという。
親父は、彼女の喘ぎ声をごまかすために、結構でかい音量でTVをつけていたから、もろにテンポの良い曲が耳に飛び込んで来たという。
そして、気がついたらその曲のリズムどおりに腰を振っていたと言う。おまけにその女性は、入れる時にはあまり濡れていないのだが、やっているうちに物凄く濡れると言う。だからこれも気がついたら、親父の肉茎が彼女の肉鞘を出入りする時に、やはりその曲のリズムどおりに卑猥な湿った音がしたと言う。
しかし、どんなにおかしな状況になっても、決して彼女とのセックスを中断することはなかったと言う。
「最後はどうなったんだい」と訊くと「そりゃ~曲の終了時点で、俺も彼女もいったっていうことだぜ。どうだい、面白いだろ~」
と言うから、本当に腹の底から笑ってしまった。
「お前だったら、そんなシチュエーションの時には、いったいどうするんだろうな」
俺は答えることができなかった。なぜなら、同じような経験があり、同じように曲の終了とともに、俺も彼女も激しくいってしまったからだ。
親父の話しに笑えたのは、実は自分のことを重ねていたからだ。
親子って本当に似たようなことをするものだと、改めて思ったものだった。
これからも、たぶん同じようなことをしながら、人生を歩んでいくのだろうと思うと、目の前にいる親父が、未来の自分に見えたから不思議だった。
